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20代半ば、人生に迷える子羊の読んだ本・気になる本

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑫ | 若林正恭『社会人大学人見知り学部卒業見込み』

社会人1年目の冬に離職、翌年の2月に新しい職場で働き出すも全く結果が出ておらず、契約社員打ち切りの危機に瀕している人間が、とにかく本に救いを求め、少しでも自分を救ってくれた本を紹介します。

 

第十一回はコレ

若林正恭『社会人大学人見知り学部卒業見込み』

 

この本は、漫才師「オードリー」のツッコミ若林正恭さんのエッセイ。タイトルが気になって買ってみたが、若林さんの性格が色々ややこしく、でもめちゃくちゃ共感できること多くて一気に読みました。こうやって人にはなかなか言えない自分の性格のコンプレックス的なものをあえて晒して、かつ若林さんなりのその性格との付き合い方を紹介してくれているので、多くの人が共感したのだと思います。

 

エッセイのあらすじって難しいので、自分なりに記憶に残った部分を紹介します。

・人見知りは「人嫌い」ではなく、むしろ「人が好き」

・すぐネガティブな思考に陥って、更にネガティブに陥っている自分に嫌気が差している人に対して...

・社会での意味のわからない慣例的な(簡単に言うと飲み会の席での上司とかへの気遣い)などに対する付き合い方

 

等々。

 

「どうしても自分の性格が好きになれない...」

「ネガティブな自分が嫌いだ...」

「もっと明るい性格にでも生まれ変わりたい...」

「今の状況に対し、頑張らないといけないという気持ちはあるんだけど...」

 

性格に関する悩み、自意識に関する悩み、夢を追うことに対する悩み(やっぱり売れない芸人として長い間苦悩して苦しんできた人ですからアドバイスも深いです)

 

色々な悩みに対応しているエッセイです。

特に

 

ネガティブな人、自分に対して自信のない人、人生が明るいとは思えない人、自己啓発なんて信じられねーよ

 

って人に読んで欲しいです。絶対に共感できます!自分の悩みの答え(っぽいもの)が見つかります!

 

こういうエッセイのいいところって、自己啓発本のように「ここに書いてあることを実践すれば悩みは解決!」のように正論を掲げて「これをやるべし」と書かれていないところだと思います。

正論で「これをやるべし」と言われたら、できなかったときやどうしてもサボってしまったときなど、逆に精神的にしんどくなります。でも今回の本だと若林さんが「俺はこういう風に乗り切ったよ」みたいなプチアドバイスをくれている感じなので「じゃぁそうしてみよっかな」と軽い気持ちになります。

 

本に相談するにも、相談相手は自分の精神状態とかによって選ぶべきですね

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!

 

 

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑪ | 喜多川泰『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第十一回はコレ

喜多川泰『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』

 

作者の喜多川泰さんは、本を執筆する前に学習塾を経営されていました。授業の前に喜多川さんの体験したことや人生訓などをお話されていたときに、塾生から「本を書いてみては」と言われ、執筆活動を始めたそうです。

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 自分のちっぽけなプライド(というかメンツ)を守るために、つい嘘をついてしまう男子高校生の主人公が「ディズニーランドに行ったことがある」という小さな嘘から始まった旅の物語。ディズニーランドに行ったのはいいが、家のある熊本に帰る飛行機を逃してしまい、何とかお金をかけずに帰ることに。主人公は、帰る途中に様々な人と出逢い、そしてその人達から色々なことを学んで、素直になっていき、人として成長していく。

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「旅は人を成長させる」とは色んなところでよく聞くことですが、まさにそのことが書かれている本です。旅自体も、予期せぬことが起こったり(自分のせいではないのに飛行機を逃したり、荷物が紛失したり)したら自分で対処するなど、少し大げさに言えば問題に対処する能力がつきます。

しかし、そのことよりも旅は、普段出逢わないような人と出逢うきっかけを作ってくれ、自分に新しい価値観をもたらしてくれます。

 

この物語でも、主人公は色々な悩みを抱えながらも懸命に人生を生きている人に教わり、その価値観に触れて成長していきます。

この本には色々な教えがあって、大人の人でも、そして若い人でも響くところがあります。自分も高校生のときに読んでいたら、「今頃は...」などと無駄で都合の良い後悔をしています。

 

教え、教えと書いていますが、説教くさいことは全くないです!そしてシンプルで力強いメッセージを、作者は最後に残しています。

P211「人生は誰と出会うかで決まるのです。」 

 

人を、そして人との縁を大切にしていきたいですね。

 

あと「出逢い」と「出会い」って意味が違ったりするんですかね??

「出会い系サイト」はあっても「出逢い系サイト」は見ませんもんね。

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!

 

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑩ | 小池浩『借金2000万円を抱えた僕にどSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第十回はコレ

小池浩『借金2000万円を抱えた僕にどSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ』

 

最近、書店でも自己啓発本は本当によく見るようになってきましたし、本当に色々な方法があるなぁと感じるようになってきましたが、なかでも中々にスピリチュアルなタイトルだったので買いました。ちなみに、漫画版も発売されていて、Amazonの評価もすさまじくいいです。

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 事業がうまくいかず借金2000万円を抱え、連帯保証人が自分の親なだけに自殺することもできずにっちもさっちもいかない主人公コイケ(作者)。ある日突然、彼の目の前に宇宙からの遣いを名乗る「宇宙さん」が現れた。「宇宙さん」は宇宙と通じて、人生がうまくいくための多くの「口ぐせ」をコイケに授け、厳しくもコイケを導いていく。

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これは一応作者の実体験を基にした本です。「宇宙さん」は、実際は作者である小池浩さんの第六感、インスピレーションのようなものだったそうです。

 

ということもあって、内容はかなりスピリチュアルでした。ただ、あくまで人生をよくするための「口ぐせ」しか書いていないので非常に実践しやすいと感じました。今まで自己啓発本を読んでも、自分が納得した部分や実践しやすいところだけ切り取ってやっていて、最後は効果がないと思ってやめていました。

 

しかし、今回の教えは基本的に「口ぐせ」、そして「宇宙さん」の2つのセリフが刺さったので、現状しっかり実践できております。その二つのセリフを紹介します。

 

P74「どうせヒマなんだろ?やれよ」

 P110「コイケがたった40年程度で得た、鼻クソ程度の経験・知識と、宇宙にある無限の情報量を比べるんじゃねぇぞ!」

 

確かにやらない言い訳を考える時間があるくらいなら、「口ぐせ」をつぶやいてる方がはるかに生産的です。そして、今まで自己啓発本で実践してきたことは自分の成功体験と重なる部分があり、自分で納得できたことでした。しかし、新たな目標があって、それを成し遂げるための過程が、今までの自分の成功体験と同じだと考える方が逆におかしいです。

 

そんなことに気付けた本でした。

 

とか書きましたが、つまるところこの本は「どこまでもポジティブに前向きに進むマインドをつくる」ものです。今、自己嫌悪とかで辛い思いをしている人には、ぜひ読んで欲しいです!

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!

 

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑨ | 小杉健治『父からの手紙』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第九回はコレ

小杉健治『父からの手紙』

 

小杉さんの作品はこれが初めてで、しかも友人から本をもらっただけなので、作品が映画化されていたりだとか、どんな賞をもらったことがあるのかだとかはよくわかりません。ですが、本の解説を読むとミステリーを中心に、最近(といっても、最初に発刊されたのが2006年なのでもうだいぶ前ですね)では「家族の絆」というテーマで書いているそうです。今作もまさしくそのテーマにふさわしいものです。

 

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 父は家族を捨て行方知れずとなったが毎年の誕生には決まって手紙を書いてくる。そんな父と母とを見た主人公の麻美子も、大切な人を守りたいから不本意ながら結婚することに。

 家族を守りたかったのか、それとも自分の欲望を守りたかったのか、9年前に悪徳の刑事を殺害するも最後までなぜ自分が殺害したのか思い出せずに出所した、もう一人の主人公の圭一。

 全く接点のない二人の物語が交互に展開されていき、最後は一つにつながる物語。

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ミステリーではよくある物語の展開ですよね。全く接点のない二人の物語が展開されますが、後半に進むにつれ、徐々に、チラチラッと接点が現れ、2つの話が近づいてくるのを感じる展開となります。

つながりが見えたが最後、読者は「もう遅いし、明日も仕事があるから今日は寝よう」なんて甘えたことを言うことは許されず、ただ作者、本の意のままに手を動かしページをめくるロボットとなり果てるのみ。

 

ですが、今作は後半怒涛の展開のミステリーというよりは、家族の絆を深く描いたものです。とはいいつつも、結局展開は後半まで見当もつきませんでした(ミステリーやサスペンスを愛好している方は、途中で犯人とかオチが見えるものなのでしょうか?)。

 

逆に言えば、「ミステリー」と「家族の犠牲」の両方がしっかり描かれているように感じました。

 

辛いことがあるときは泣いたほうがいいってよく言いますけど、確かに泣いたら少しはスッキリしますもんね。この本は、玉ねぎを3個切ったときくらいの涙がでます。

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!

 

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑧ | 湯本香樹実『夏の庭 The Friends』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第八回はコレ

湯本香樹実『夏の庭 The Friends』

 

湯本香樹実さんの作品は多くは読んでいないのですが、自分の印象としては、物語に大きな山場があり、読んでいてハラハラして読む手が止まらない!というものではありません。じっくり読んで、自分だけに響く言葉を探すのが楽しい、そんな宝探し的な要素のある作品が多いと思います。

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 小学6年生の夏、主人公とその友達は人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、町の外れにあるおじいさんを見張ることにした。初めは、見張っている主人公達も少し警戒して、見られているおじいさんもそんな子ども達に憤慨しながらも、段々と交流を深めていく、優しいという言葉が似合う物語。

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あらすじを書くだけで優しい気持ちになれそうです。荒井由美子さんの『やさしさに包まれたなら』を聴いたときを彷彿とさせます(完全に個人的な意見)。

 

主人公達は少年らしい好奇心(あまり趣味がいいとは思えませんが)からおじいさんを見張っていましたが、人との交流があまりなかったおじいさんは初めは疎ましく思っていた子ども達がくるのが段々と楽しみになってきました(すでにあらすじに書きましたが)。

 

正直、このあらすじだけで物語としては十分に理解できるものですが、実際に子ども達とおじいさんの交流は「ハートフル」という言葉がよく似合います。

 

こういう物語は意外に説明というのが難しい、と書いていて感じます。どうしても、書く言葉が軽くなるような気がしてきますので、多くは書きません。

 

少年少女時代のみずみずしい感性というものを思い出したい方には、ぴったりだと思います。自分はどんな子どもだったのだろう、どんなことに興味をもっていたのだろう、子どもなりにどんなことを考えていたんだろう、たまにはこういうことを思い出してみるのも、今の自分を見つめ直すいいきっかけになるかもしれませんね。

今の生活に疲れていたり、自分が好きになれない方は、この本で自分が嫌いとかそういうことすら考えずに全力で生きていたころをぜひ思い出してください。

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑦ | 金城一紀『レボリューションNo.0』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第七回はコレ

金城一紀『レボリューションNo.0』

 

金城一紀さんといえば、作品のいくつかが映画化されており、なおかつドラマの脚本をいくつも書いていることで有名です。少し前だと岡田准一さんと堤真一さんが主演の『SP』や小栗旬さん主演の『BORDER』などが挙げられます。エンターテイメント性の強い作品が非常に多く、漫画を読んでいるかのようにサクサクと読んでいけますが、それでも最高にイカす台詞や文章が多いです(イカすって表現は古いですかね、あと「イカす」なのか「イカス」なのか)。

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 典型的なオチこぼれ男子校に通うことになった主人公とその友人達。学校の変な規則やイベントに苦しみ、社会の息苦しさに嫌気が差している彼らの痛快な物語。

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なにを書けばいいのかわからず、あらすじが二行で終了してしまいました(怠慢じゃないですよ!)。しかし、あらすじをしっかり読んでから本作を読むより、痛快な物語が欲しい人や日々の生活に嫌気が差している人はとにかく読むべし!

 

もちろん、これは小説ですし、主人公達は高校生ですから、大人の社会に出た人が読んでも悩みの解決にはならないでしょう(例え、社会人の仕事の物語でもあるドラマ『半沢直樹』、原作『オレたち花のバブル組』を読んでも、実際の悩みの解決にはつながらないように)。

 

でも、やっぱり日々会社で働いて疲れ切っている大人の方には、そういう鬱憤やストレスを吹っ飛ばす物語があってもいいですよね。

 

ここで、イカした台詞をいくつか紹介します。

この世界には、僕たちを再びグレイト・エスケイプへと導く要素と兆候に満ち溢れていることに。足りないのは、それらを見つけ出す目と、聞き取る耳と、感じ取るセンスだけなのだ。退屈なのは、世界の責任じゃない。怠惰な僕たちの創り出している世界が、退屈なだけなのだ。

...ありふれた未来を約束する保険。すべてを捨て去れ。リセットボタンを押し続けろ。何度でも、ゼロに、戻れ。

 

などなど。正直、いっっっぱいあります!どの台詞が響くかは読者、それぞれの悩み次第でしょう。

自分に響く文章、まるで自分の悩みを言葉にしてくれたような文章がある本には運命みたいなものを感じることもあります(共感がなければ、なかなかに恥ずかしいことを書いちゃってますが)。

 

今作品はシリーズでもあり、ゾンビーズ(主人公達のグループの名前的な)シリーズとして他に3作品あります(ちなみに、今作は本になったのは一番後だが、時系列は一番前)。気に入ったら、ぜひ他の作品も読んでみると面白いですよ!

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!

 

 

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑥ | 西加奈子『サラバ!』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第六回はコレ

西加奈子サラバ!

 

西加奈子さんの代表作といえば『きいろいゾウ』と言われてますね。映画化され、主演は宮崎あおいさんと向井理さんが務めました。ちなみに、作者の西加奈子さんはイランで生まれ、小学生の時期をエジプトのカイロで過ごされたそうです。その生い立ちはしっかり今作品の登場人物に反映されています。

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 四人家族の弟の「僕」(主人公)。イランで生まれ、エジプトで小学生の時代を過ごした「僕」(西加奈子さんの生い立ちと同じですね)には、破天荒で天邪鬼の極みである姉がいた。いつも姉に振り回され、姉の「やらかし」に迷惑し、そして家族に振り回されていた「僕」が、小説を書くに至るまでの物語。

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正直、あらすじを書くのが難しいです。というのも、物語に山場というような山場が見受けられず、本当に「僕」という存在がいて、その「僕」が自分の周りで起こったあらゆる出来事を、さながら日記のように書いているからです。

 

でも、飽きないし、退屈しない。

 

日記というふうに先程表現しましたが、実際は、強烈な姉がいたり、イランやエジプトで生活していたから、日常を描いているけど、読者からしたら既に非日常。だから、淡々と描かれつつも読む手が止まらない。

 

もう一つ素晴らしいところ、特に素晴らしいところは

何よりも、「僕」の心理描写がリアル、というよりもはや、生々しい。

 

「僕」が姉の行ったことを受けて、それに対し自分をどのように周りに見せようとしているのか、という部分の生々しさは少し怖くなるくらい。

 

多くの人は、無意識的に、周りに自分をこういう風に見せたいと思い、そのように振舞うと思います。こういう風、という一種自分の基準は、きっと周りの人を見て形成されていくのでしょう。

 

しかし、きっと、そうやって周りの人を見て作られた自分の基準、そしてその基準に沿って自らの行動を規定するのは非常に苦しいです。

 

なぜなら、これは本来、自分がやりたいことなどの自分の欲求とは違うからです。周りを見て、「これがいいことなのだ」「じゃぁこうしたら、周りは喜ぶだろう」という思考が無意識的に行われ、それが行動につながるからです。

 

初めは家族や友人の喜ぶ顔が見たいという素朴な気持ちがいつしか、自分のなかで固まった価値観となり、そして周りの目を気にし過ぎたりしてしまい、辛くなることにつながります。

 

自分がそういった思考をしていること、そういった思考を基に行動していることを、この本で私は学びました。小説で、ここまで自分の人生にちゃんとした気づきを得られたのは本当によい本に巡り合えたと思います。

 

周りの目を気にし過ぎたり、自分で自分を責めることが多い人はぜひ、読んでください。最後は主人公のようになれると思います!

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!