Journey with Books

20代半ば、人生に迷える子羊の読んだ本・気になる本

【おすすめ!】人生に迷う20代半ば男が選んだ名作 ⑥ | 西加奈子『サラバ!』

人生に迷える20代半ば男です。人生に迷いまくってます。「こんな仕事続くのかな」「定年までの長い間の人生これでいいのかな」「定年ってあるのかな」と不安に駆られた自分が「読んで良かった!」と思える本を紹介していきます。

 

第六回はコレ

西加奈子サラバ!

 

西加奈子さんの代表作といえば『きいろいゾウ』と言われてますね。映画化され、主演は宮崎あおいさんと向井理さんが務めました。ちなみに、作者の西加奈子さんはイランで生まれ、小学生の時期をエジプトのカイロで過ごされたそうです。その生い立ちはしっかり今作品の登場人物に反映されています。

 

まずはあらすじをご紹介~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 四人家族の弟の「僕」(主人公)。イランで生まれ、エジプトで小学生の時代を過ごした「僕」(西加奈子さんの生い立ちと同じですね)には、破天荒で天邪鬼の極みである姉がいた。いつも姉に振り回され、姉の「やらかし」に迷惑し、そして家族に振り回されていた「僕」が、小説を書くに至るまでの物語。

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正直、あらすじを書くのが難しいです。というのも、物語に山場というような山場が見受けられず、本当に「僕」という存在がいて、その「僕」が自分の周りで起こったあらゆる出来事を、さながら日記のように書いているからです。

 

でも、飽きないし、退屈しない。

 

日記というふうに先程表現しましたが、実際は、強烈な姉がいたり、イランやエジプトで生活していたから、日常を描いているけど、読者からしたら既に非日常。だから、淡々と描かれつつも読む手が止まらない。

 

もう一つ素晴らしいところ、特に素晴らしいところは

何よりも、「僕」の心理描写がリアル、というよりもはや、生々しい。

 

「僕」が姉の行ったことを受けて、それに対し自分をどのように周りに見せようとしているのか、という部分の生々しさは少し怖くなるくらい。

 

多くの人は、無意識的に、周りに自分をこういう風に見せたいと思い、そのように振舞うと思います。こういう風、という一種自分の基準は、きっと周りの人を見て形成されていくのでしょう。

 

しかし、きっと、そうやって周りの人を見て作られた自分の基準、そしてその基準に沿って自らの行動を規定するのは非常に苦しいです。

 

なぜなら、これは本来、自分がやりたいことなどの自分の欲求とは違うからです。周りを見て、「これがいいことなのだ」「じゃぁこうしたら、周りは喜ぶだろう」という思考が無意識的に行われ、それが行動につながるからです。

 

初めは家族や友人の喜ぶ顔が見たいという素朴な気持ちがいつしか、自分のなかで固まった価値観となり、そして周りの目を気にし過ぎたりしてしまい、辛くなることにつながります。

 

自分がそういった思考をしていること、そういった思考を基に行動していることを、この本で私は学びました。小説で、ここまで自分の人生にちゃんとした気づきを得られたのは本当によい本に巡り合えたと思います。

 

周りの目を気にし過ぎたり、自分で自分を責めることが多い人はぜひ、読んでください。最後は主人公のようになれると思います!

 

 

もし、人生に迷っているあなた(迷っていないが面白い本を見つけたあなたも!)が「良かった!」って思える本があれば、ぜひコメント欄で教えてください!